大川邸のお隣の前川邸。
これを見た時に足が震えました。「ここにあったんだ」と感動。
前川國男邸。
実は、ずっとずっと見たいと思っていた建物なんです。
随分前になりますが、NHKの建物の番組で紹介していたのを見て素敵な家だなあと。
武蔵小金井にあるとは聞いていたんですが、まさか「江戸東京たてもの園」に移築されていたとは。
前川さんは、あの東京文化会館や紀ノ国屋書店を建築した方。
ル・コルビジェやアントニン・レーモンドの事務所にもいた日本を代表する建築家です。
入口の大谷石、この互い違いの塀だけのエントランスの素晴らしさ。
来る人を拒まない、ゆるやかな動線が玄関へと導きます。
あああ、何だかレンズにゴミがついているようだわ。ザンネン。
北側の庭の素晴らしさも最高です。
呼び鈴もレトロ
玄関を入ると、リビングにいざなわれます。
正面は前川さんの仕事場のようです。
この扉、凄いよねぇ。
コンランもこんな特殊な蝶番のガラス窓を使っていましたね。
こんな大きな幅のドアががばっと開いていたら、自然と居間にいざなわれるわよね。
南側には天井までの羽目板ガラス窓が。。。
す す すばらしい。
振り返ると、さっき入ってきた北庭が見えます。
居間には二階に続く階段。
残念ながら上階は建物保全の為登れない様子。
写真で見ると上からは、こんな風に見えるんだ。
思ったよりも奥行きがあるんですね。
全体の間取りはこんな感じ。
そうそう、先に仕事場の方を拝見しよう。
シンプルなお部屋。
ここでいくつの設計をされたのだろう。。。
窓からの眺めも素晴らしい。あっでも当時の眺めとは違いますけどね(笑)
すごい!!! このタイル
陽光を計算された作りなんでしょうね。
昔、両親が家を建てた時、
母がトイレの壁紙を1階は錦糸の入った焦げ茶の壁紙、
2階を紺の壁紙にしようとしたら、建築家に「トイレが狭く感じるので、暗い色はやめた方がいい」と言われたんです。
母はその猛反対をおして濃い色の壁紙にしました。
「狭く見えて何がいけないの? むしろ落ち着くと私は思う」
それが母の主張だったようです。
出来上がった二つのトイレ、どちらも大好きでした。
前川邸のこのトイレを見たら、
当時の実家のその壁紙を思い出してしまいました。
さて。居間に戻ります。
あそこの小さいドアがプライベートの部分なのね。
うまいねぇ。
オフィシャルな方は大きな扉。反対側のプライベートな方は小さな扉。
ドアの正面が浴室とトイレ
こちらはさっきと対照的に白いタイルなんだ。
把手もすてき
御勝手はシンプルな造り
ここ、いい。食器とかの出入りの窓。
右側は普段使いの器が入った両面の棚じゃないかしら。
寝室もシンプルな造りですね。
ドアの高さも、端の高さをアーチ型に低くしている。
雪見障子のようになっているのか。
ほら
南庭から北庭に抜ける、開放感のあるリビング。
ずっとこの椅子に座っていたい。
そんな落ち着く空間でした。
前川國男邸。
まだ物資の整わない1942年 ( 昭和17年 ) に建てたものです。限られた建築資材と建坪100㎡以下という制限の中、才能あふれる建築家の創意工夫とセンスに満ちた木造モダニズムの自邸は、前川さんの代表作ともいえる名建築です。
※ これは、 2015年10月27日 12:25のお話です。