Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

老嬢と女子大生について考えさせられた本

 

260日経った。

なんのことかというと。

よんばばさんが本を紹介されてから、私がこれを書くに至った日数。

hikikomoriobaba.hatenadiary.com

 

『古本食堂』 原田ひ香

よんばばさんのブログでこの本を知り、その日のうちに図書館に予約を入れた。

順番待ちは三桁越え、やっと順番がまわってきたのが255日目だった。

いくら人気本とはいえ9ヶ月もかかるとは。。。

買えば良さそうなものだが購入は昭和初期以前の古書で手一杯、新刊は図書館だよりの私である。

 

とかなんとか

ゴタクは大概にして本のこと。

 

いやぁ面白かった。

よんばばさんの記事でビビッときた、私のアンテナを自分で褒めたい。

勿論その前に、面白い本を紹介してくださったよんばばさんに感謝です。

 

神保町・古本・美味しい物と好みのど真ん中の素材を、軽快な筆遣いで料理してくれて愉しい本だ。

人とのふれあいが温かく描かれていて、知らない本への好奇心もくすぐってもらえて、

おまけに神保町界隈の美味しいご飯情報までいただけたのだから言うことはない。

 

原田ひ香さんのドラマ

作者・原田ひ香さんの名は、テレビドラマ『一橋桐子の犯罪日記』の原作者として知っていたが、著書を読むのは初めてである。

本の話の前にちょっと脱線するが、このドラマがとても面白かった。

76歳の身寄りもなく何の取り柄もない女性が、唯一の友を失ったことから、行く末を案じ始める。

このままだと自分は孤独死してしまうのでは、と絞り出したのが《余生をムショで暮らす》という計画。

人を傷つけず、できるだけ人に迷惑をかけずに捕まり、刑務所に入る方法を模索し始めると桐子の周りに、彼女を心配する協力者が集まってくる。

パート先の上司 久遠 ( 岩田剛典 ) 、隠れ闇金を営む寺田 ( 宇崎竜童 )、 女子高生の雪奈 ( 長澤 樹 )

強面の久遠も寺田も、女子高生の雪奈からも桐子はほっておけない存在だった。

立場や年齢性別、人との垣根を飛び越えて接してくる、ぽわんとした桐子の魅力によるものだろう。

※ 一橋桐子を好演した松坂慶子も良かった。

 

 

ドラマの話になってしまったが、何が言いたいかというと、

ドラマの一橋桐子と、本の主人公の珊瑚がよく似ている気がしたのだ。

 

桐子に59歳年下の雪奈がいるように、珊瑚にも姪孫てっそんの美希喜が良いパートナーがいる。

※ 姪孫 ⵈⵈ 甥っ子の娘

50以上も年齢の離れた女の子とうまくやっていける老女なんて、そうはいないだろうが、

桐子も珊瑚も、偉ぶらず、人との間に垣根を作らず、頼りないところがいいのだろう。

説教臭いことを言うでもなく、あっちが痛いこっちが痛いと言わず、愚痴もこぼさずいつも前向きでいる老女、加えて「このおばあちゃん 大丈夫かな」と放っておけないタイプが若い子の心をくすぐるのかも知れない。

 

そんなおばあさんに、私もなりたい!

 

 

 

『古本食堂』の内容

美望喜は、国文科の大学院生。

本を読むのが好きという理由で国文科を選んだものの、今後の進路を決めあぐねていた。

そんな彼女が心の支えにしたのが、大叔父が営む神保町の古書店「鷹島古書店」。

大叔父は、高校生だった美希喜が進路に悩んだとき、相談に乗ってくれたことがある。

 

そんな大叔父が、独身のまま急逝した。

店を継いだのは大叔父の故郷、北海道で両親の介護をまっとうしたという大叔父の妹・珊瑚だった。

 

「鷹島古書店」が入っているビルは、大叔父の持ち物だった。

小さくて古いビルだが都心のど真ん中、一億はくだらないものを珊瑚がどうするか心配でならないのは、美希喜の母だ。遺産を相続するのはかまわないが、誰かと結婚したり騙されたりして人の手に渡ってしまったら大変と、母は娘を偵察に出す。

「お店の様子を見に行って。交通費も食事代も払うから何かあったら報告するように」

美希喜は、古書店店主としては素人の珊瑚の様子を見に行くうちに、彼女の手伝いをするようになる。

 

二人主役の物語

この本は「私」という記述の美希喜の章と、「あたし」という記述の珊瑚の章とが交互に展開する。

50歳以上も歳の離れた二人の女性が「鷹島古書店」で働いている内に次第に打ち解け、

お互いの良さを見つけ、頼りにしあって成長する。

 

二人の共通点

彼女たちにはいくつかの共通点がある。

  • 二人の要になる慈郎の存在
     慈郎は珊瑚にとっては兄、美希喜にとっては大叔父にあたる人物で、
     二人にとってかけがえのない存在。
  • 二人の名前は慈郎がつけた
     妹の名前を《三子》にしようとする両親に、それはあまりにも可哀そうだと主張し、
     「珊瑚にしたらどうか」と提案してくれたのが兄の慈郎だった。
     《美希喜》は、大叔父の慈郎が
    「いろんなものをよく見て、人の話をよく聞きなさい」という意味で考えた名前。
  • 二人とも無類の本好き
     国文学科の大学院生の美希喜も現役の読書家であるが、
     珊瑚も読書家であったことが垣間見られ、兄の収集した古書に愛着を持っている。

 

この本の魅力

物語は6つに分かれ、沢山の書籍が登場する。

既読の『落穂拾ひ』小山清などにテンションがあがり、未読のものには興味をそそられる。

 

神保町の好きな古書店、美味しい店が続々と登場するのも魅力的。

さぼうる、揚子江飯店、ボンディなど、行ったことのある店はまた行きたくなるし、

知らない店も訪ねてみたくなる。

 

特に、第4話に出て来るブックハウスカフェに興味深々。

珊瑚が注文したチーズたっぷりのグラタン風のハヤシライスや、

お土産のカレーパンは美味しそうなんだもの。

 

こちらはブックハウスカフェの実際のメニュー表⤵

なんとなく『古本食堂』の本の絵に似ているなぁと思った。

 

よんばばさんのお蔭で、私も素敵な本に出会えた。

よんばばさん、いつもありがとうございます。

 

 

 

 

本日の夜ごはん

昼ごはんの写真を撮りそびれていたが、三品盛りにチキンライスがあるので、

昼はオムライスだったようだ。

 

グリーンピースの冷凍がまだまだあるので、マカロニサラダに使った。

甘くて美味しくて正解!

 

「なんか急に食べたくなった、お浸しにして」とMOURI が買ってきた小松菜

《(お湯で) 茹でて、食べる時に醤油》ではなく、

我が家の出汁と白だしで薄味に煮てみたら美味しかった。

これぞまさしくお浸し。

 

〆にレアチーズケーキ