garadanikki

日々のことつれづれ 駄目駄目さんのガラクタ日記

寝床で読んだ本「わたしはわたし自身を生きる~」

 

起床して、ゾクっと寒気を感じたので検温したら37.4度ある。

やっちまったか

うがい手洗いマスクは欠かさないできたが、それでも感染力には勝てなかったのか。

ただの風邪でありますようにと、ご飯を食べてベッドに潜り込む。

 

今日は寝てよう 読書の日

一気読みしたのが、金子文子の本。

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前半の手記は、以前読んだ「余白の春」瀬戸内寂聴とかぶっているが、

後半の調書と獄中で詠んだ和歌に圧倒された。

 

金子文子の人生

彼女の短すぎる人生は波乱にとんだものだ。

23年を生き急いだといってもいいだろう。

金子文子のことは、映画『金子文子と朴烈』で知った。

 

 

無責任な両親のせいで無籍者として小学校にも通えず、やっと学校に通えるようになった文子は、

父親からも母親からも捨てられ、朝鮮で高利貸しをしている祖母に引き取られる。

伯母 (父親の妹) の後継ぎ (養女) として貰われていったが、祖母にも伯母夫婦にも疎まれ、

女中に格下げされ、虐待されて16歳まで過ごす。

 

《嫁に出す年齢となれば金がかかる》という理由で、放り出されるように日本に戻された文子は、日本でもたらいまわしの目に会う。やっと自活を始めるも、新聞売り、女中など職を点々とし、住処や男も点々と変えるすさんだ日々が続く。

そんな中 出会ったのが運動家-朴烈だった。

同じ思想を持つ二人は同棲を始めたが、「治安維持法違反」から「爆発物取締罰則違反」の被告となり逮捕され「大逆罪」で死刑判決を受ける。のち恩赦により無期懲役に減刑されるが、文子は獄中で縊死する。

「すべての人間は人間であるという、ただ一つの資格によって」「平等」であると確信した文子は、「権力の前に膝を折って生きるよりは、死してあくまで自分の裡に終始」するとした23年であった。

 

 

熱発の寝床で読むにはヘビーな内容だが、文子の凄まじいパワーにあてられ、熱がふっとんだ。

 

彼女の生き方は抵抗の連続だった。

たらいまわしにされ、職も住処も点々としたのは、周囲の人間のせいとばかりは言えないかも知れない。

彼女の中に《こらえ性がない》という一面が、見え隠れするからだ。

彼女の感情や知識欲が溢れすぎて、ひとつのところに納まらなかったのではないだろうか。

 

小学校もろくに通わせて貰えなかった文子だが、彼女の弁論や文章力には目を見張るものがある。

手記で彼女は「学校の勉強は、復習なんかしなくても覚えられたから、勉強はできた」と語っている。

頭の回転は速く、記憶力も抜群で、読解力もあり、物事を理論だてて理解する能力もあることが、調書は手記から伝わってくる。

 

朴烈とは19才の春に知り合い、20才の秋には逮捕されているのだから、一年ちょっとの付き合いになる。

文子は「生涯をかけて愛す」と言っているけれど、もし逮捕されなかったら、この先ずっと朴と一緒に歩んでいけただろうか。

朴烈の器の中だけでおさまる文子ではない、私はそんな気がしてならないのだ。

 

 

調書のやりとりは、圧巻

判事の問に対する文子の返答の鮮やかさは、とても20代の女の言葉ではない。

日本の最高水準の教育を受けたであろう判事も舌をまくほどのものだ。

彼女は言葉は常に論理だっていて、ぶれていない。

例えばこんなこと

問 前回の申し立てに相違ないか。

答 相違ありませぬ。

問 被告は女として身体の都合上、昂奮して前回のようなことを申したのではないか。

答 そんなことはありませぬ。

問 被告はてらって前回のようなことを申し立てたのではないか。

答 冗談ではありませぬ。てらってあのようなことを申すものですか。

問 被告の家系に精神病者はいないか。

答 精神病者はありませぬが、私の母方の祖父は癇癪が持病である、一昨昨年中癇癪を起して死亡しました。

p.198 第8回尋問調書より

 

 

問 何か申し立つることがあったか。

答 判事さんが今日も出張されたということを聞いて、私が看守さんを通して判事さんに面会を求めたのは、前回の調書のなかで少し計り訂正したい事があったからであります。

 

問 その訂正したい事とは何か。

答 前回、私は坊ちゃんを一匹やっつければよいと申しました。

その際、判事さんから注意を受けたことを思い出して、私はその後一匹という言葉がなるほどいかにも汚い醜して言葉であることに気づきました。

  すでに私の国家観、天皇、皇太子観を申し述べ、皇太子に対する私らの計画を申し上げた以上はことさら敬語を用いる必要もありませぬが、またことさら罵倒する必要もない。かえって私の立場を醜くするものであることに気づきました。

  それで私は前回、私らの爆弾を投げる対象がつまるところ坊ちゃん一匹やっつければよいと申した点を、皇太子一人を殺すればよいのであると申し上げて、用語を訂正したいと思います。そので私は今日、判事さんに面会を求めたのであります。

p.208 第十三回尋問調書

 

 

文子は判事たちから何回も改心や転向を流されている。しかし彼女の気持は硬い。

彼女なりの思想にぶれがなく、完結しているから凄い。

問 被告は改心してはどうか。

答 私は悔悛せねばならふことは断じてしておりませぬ。

  なるほど私の思想や行動、計画は他人の迷惑になるから悪だとも言えましょうが、しかしこれと同時にそれは私自身を利するものであります。

  自分の利のために計る事は決して悪ではなく、かえってそれは人間の本性であり、生きることの条件であります。もし自分のために計る事が悪であるとするなら、その責任は人間自体にある「生きること」にあります。私にとっては自分を利することすなわち善であると同時に自分を不利にすることはすなわち悪であります

  しかし私は善なりと信ずるがゆえに計画を行って来たのではありませぬ。したいからして来たに過ぎないのであります。他人が悪なりとどのように批難しようとも、自分の道をまげ得ないと同様にお役人が善なりとしてどのように私を煽てて下さいましても、自分がしたくなければ致しません

  私は今後もしたいことをして行きます。そのしたいことが何であるかを今から予定することはできませぬが、とにかく私の生命が地上にあらん限りは「今」という時における「したいこと」から「したいこと」を追うて行動するだけは確かであります。

p.208 第十二回尋問調書より

 

 

彼女の思想や行動自体は危険なものであり、性格も多々破綻している。

しかし彼女の、自分が信ずる道をつらぬき通す生きざまには感服してしまった。

 

 

※ 金子文子の手記は青空文庫で読めます。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000246/files/59950_73696.html

 

 

 

 

本日の昼ごはん

熱を出しながらも和定食にしたのは、弁当作りのため。

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出汁をとった昆布に素干しあみを入れて作ったふりかけも役立つはず

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味噌汁の香りも感じられ、味覚もわかったのでただの風邪なのだと思う。

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一番美味しかったのは、みどり大根をおろしたものだった。

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布団に潜り込む前に作った弁当

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朝食と全く同じでは辛いのだ、いんげんの肉巻きと、青海苔入りだし巻き玉子を作った。

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いんげんの肉巻き、トマト、ハンバーグの残り、マッシュポテト、

青海苔入り出汁巻き卵、鮭は味がふぬけだったので塩糀をまぶしてホイルで蒸し焼きし直した。