朝5時。
となかさんからLINEで目が覚めた。
「とんとん、出て来なくて捕獲できませんでした」
なんと!
昨日、とんとんに病院の話をしたのがいけなかったのか。
いつも朝ご飯には必ず出て来るとんとんが、出て来ないとは。
今日を逃すと、病院に連れていけるのが一週間先になってしまう。
急いでとなかさんに電話をする。
「私、今から行きましょうか。出てきたら私が捕獲します」
にゃんこの捕獲は、その猫が一番好きな人にはさせないようにしている。
慣れている人が一番良いように思うが、一番好きな人はその猫にとって嫌なことをしない人でいる方が好ましい、というのが世話人さんたちの意見だ。
例えばコタヌの場合は、大好きな若いお姉さんに捕獲はさせないで、次に懐いている人が担当する。
とんとんの場合も、一番に懐いている私を捕獲の人選から外したのが、となかさんだった。
ところが、当の本猫が出て来ない以上、そうもいっていられない。
身支度をして、集会場に着くと、10分もしない内にとんとんが現れた。
いきなりキャリーバックを見せると警戒するので、私が抱きあげたら、
もう1人の人がキャリーバックを持ってきてくれるという段取りにした。
ところが。
抱きあげたはいいものの、助手の人がドタドタとキャリーバックを持って近づいたのに驚き、
とんとんがパニックになった。
人間の常ではないテンションに危機感を抱いたのだろう。
ここで手を離したらダメだと私も力が入り、とんとんは暴れもがきで、私は血だらけになった。
土曜日の集会場は、いつもより人通りも多い。
通りがかった人は何が起こったのかと集まりちょっとした騒ぎになった。
あと一歩で取り逃がした とんとんは、屋敷の門扉の奥に逃げ込んでしまった。
今日はもう駄目だな
諦めかけたところに、ハタボウが登場した。
ハタボウに「とんとんを探して出て来るように言って」と頼んでみた。
そんなこと、無理だと思うでしょうが、ハタボウはやるのですよ。
ハタボウは屋敷の門のところまで行って、奥の方をみている。
すると、とんとんが出てくるではないか。
これも前例があることです。
三年前、病気になったツキグロさんを捕獲する際にも、協力してくれたのはハタボウだった。
ハタボウはツキグロさんの居る場所を教えてくれ、キャリーバックに入れられて落ち着きを失くしたツキグロさんに声をかけてくれた。
「大丈夫だよ、まるちゃんたちは、怖いことしないよ」とでも言ってくれたんだろう。
今回も、ハタボウ兄ちゃんのひと声で、とんとんが出てきてくれた。
私は門から少し離れたところに座り込み、とんとんお気に入りの紫のマットを敷いた。
いつもなら紫のマットにまっしぐらで飛んでくるとんとんも、まだ警戒を解こうとしない。
一回目は、キャリーバックを持ってきたくれた方の、テンションの高さに異常を察知してパニくらせてしまったので、二回目は私ひとりで対処することにした。
その方には離れてもらって、キャリーバックは紫のマットの後ろに置いた。
ピンクのなかなか目立つキャリーバックだったから、私のジャケットで覆い、
私の体で見えないように隠した。
とんとんがマットの近くまでやってきた。
私の後ろに何やら見え隠れするものが、あの恐ろしい物かを確認したいようだが、
私が邪魔で見えないようだ。
「どいて、見えないの」と、私の背後を、右から左から探るように見る顔がなんとも可愛い。
私は、いつもと同じような穏やかな気持ちになるように息を整え、とんとんを待つ。
とんとんがやってきた。
ひょい。
とんとんを抱きあげ、すぐにキャリーに押し込んだ。
最後の最後にまた凄く暴れて、両手に無数の引掻き傷を負い血だらけになったが、捕獲成功。
2時間半の大捕り物だった。
キャリーバックから離れた所で「捕獲完了」の電話をとなかさんにした。
私が電話をしている最中、ハタボウはキャリーに寄ってきて、とんとんに何か言っている。
落ち着くように言ってくれているようだ。
ツキグロさんの時 同様、ハタボウは捕獲された子に寄り添ってなだめ役をかってくれた。
ハタボウのお蔭、とんとんは大人しくなった。
一連の写真は、一枚もない。
なんたって、わたし、血だらけだもの。
今までで、一番の大捕り物だったし、とんとんの怖がりようは尋常でなかったから、
多分これに懲りて、次にとんとんを捕獲するのは不可能に近いと思う。
病院で血液検査をしてもらって、結果がわかるのは一週間後。
薬の処方だけで、とんとんが来院しなくていいことを祈るばかりである。
本日の昼ごはん
大捕り物のあとのご飯は、イカパスタ
イカのゲソ、豆苗、玉ねぎ、えのき、ズッキーニを炒めて、旨甘露醤油と黒胡椒で味を調えたもの。
にんにくを入れたらもっと良かったけれど、これからジムに行くという人がいるので割愛した。
本日の夜ごはん
三品盛りは、冷ややっこ、バタコーン、ちくわ
枝豆、もずく、スープに、鶏のむね肉炒め
鶏のむね肉は、パサパサしないようにと塩糀で揉みこんでから焼いた。
合せたのは、別に焼きめをつけたアスパラガス。
スープは鶏だしスープに、玉ねぎを大量に入れたもの。
ほんの少しカレー風味にした。