瀬尾まいこ著 『幸福な食卓』を読了
佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けにくる母、元天才児の兄。そして佐和子には、心の中で次第にその存在が大きくなるボーイフレンド大浦君がいて・・・。それぞれ切なさを抱えながら、つながり合い再生していく家族の姿を温かく描く。
文庫の解説より
瀬尾さんの本を読んだのは『そしてバトンは渡された』『夜明けのすべて』につぎ3回目。
前2作は、いずれも登場人物の行動がぶっ飛んでいるストーリーで痛快に読めた。
ぶっ飛んでいるけれど、登場人物がそこに至るまでの気持ちがちゃんと描かれていたので感情移入出来た。
しかし今回の作品はちょっと違う。
父親が過去に自殺未遂をするのだが、なぜ自らの命を絶とうとしたかが明かされないまま、物語が始まる。
主人公の佐和子はトラウマを抱えていて、母親もその事件がキッカケで家を出る。
奇妙なのはアパートを借り別居している母親が料理を届けに頻繁に通っていることだ。
ちょっとヘンどころか、とても奇妙な親子関係だ。
天才児の兄はその家族を達観するように、大学を辞め農業を始めた。
冒頭にこう書いてある。
「我が家は朝ごはんを全員そろって食べる。
~中略~
そして、みんなが重要な決心や悩みを朝食時に告白することだ。
直ちゃん ( 兄 ) が進路を決心したことも、母さんが家を出ることに決めたことも朝に知った。
私たちは重い心持ちになったり、衝撃を受けたりしながら一日を迎える」
普通は、毎朝揃って朝食を囲んでいた家が、どういう経緯で破綻していったのかがもう少し詳しく書かれてから物語が進んでいくように思うが、父親の悩みなどは一切省いたところから物語が始まるので、私は突然奇妙な家族の世界に放り込まれた感じだった。
多分、私が読み取れなかったのだろうが、何がなんだかわからないまま物語が進み、
佐和子に大浦君というボーイフレンドが出来たころから楽しくなった。
因みにこの本は17年も前に映画化されている。
当時のキャスティングを見ると、北乃きいの初主演映画のようで、ネットを検索すると初々しい高校生の北乃きいの姿を見ることが出来た。
愛すべきキャラクター大浦君に抜擢されたのは、勝地涼さん、本を読んでいて「ああなるほど」と思った。
映画を観て、わからなかった部分を補おうかな。
本日の昼ごはん
本日のひとり夜ご飯