清澄庭園と深川江戸資料館を堪能し、流石に空腹を覚える。
落語会の開演は18時半、まだ一時間半もある。
やはり、いくらなんでも家を出たのは早すぎたかな。
せっかく深川に来たんのだから、深川めしというやつを堪能しよう。
地域密着っぽい店があった。
ここにしよう。
ガラッと戸を開けたら、思いのほか狭いので驚いた。
左の小あがりは7人位座れるくらい、右にはカウンターが4席ほど。
初老のご主人がひとりだけで、口開けの時間で客はなし。
「何にします」
「深川めしください」
待つことしばし、配膳されました。
「熱いから、気をつけてね」
そうよ あんかけだもの、なかなか冷めないもの。
猫舌の私は、あんかけ丼が冷めるまで蕎麦茶を飲んで、お新香を食べる。
「あの、写真撮らせてもらって、いいですか?」
「どうぞどうぞ」
あんかけ丼を、おっかなびっくり食べ始めたところに奥さんが帰ってきた。
「いらっしゃいませ」
「おじゃましてます」
おじゃましてます、というのも変だったなと苦笑いしながら食べてると、ご主人が静かに話し出す。
「どこかで、写真撮れました?」
「清澄庭園と深川江戸記念館に行ったので、一杯撮っちゃいました」
狭い店内はややもすると圧迫感を感じる距離感なのに、なんだろう、この寛げる雰囲気は。
ご主人も奥さんもニコニコ笑いながら、さりげなく話をふる。
もちろん食事の邪魔にはならない態である。
私の方は、久しぶりに帰った実家にいる気分になった。
いろいろなことを聞いてみた。
まず気になってたあのレトロな建物のことを。
ご主人のお話によれば、あれは、昭和の初めに建てられた東京市の建物なんだそうだ。
今では、おもいおもい屋上部分にプレハブを増築したりしているが、当時は屋上が全部同じ高さでつながっていたので、ご主人が子供の頃は、よくあそこで遊んだんだそうだ。
「どうやって屋上に登るかっていうとね、清澄庭園の木によじ登って、そこから飛び移るんですよ。でも帰りは大変なの。屋上から木に移るのは、それは苦労したなぁ。それでも広くて楽しいから、良く登ったなあ。大勢でダダダッと走り回るんだもの、下の家の人はうるさかったでしょうね。でも優しいよね、一回も怒られなかった」
ご主人は当時の様子を懐かしそうに話してくれた。
あの長屋には、実は地下もあるんだそうです。
ご主人もつい最近まで知らなかったけど、タモリ倶楽部で取り上げられて知ったのだそうです。
それからご主人と奥さんから、
「江戸資料館の街並みは、実際にこの先の深川佐賀町の街並みをモデルにしてる」という話や
「木場の河岸は河津桜の名所」だという話も聞いた。
河津桜といえば、親友 ( MAMAとオネエチャマ ) に『伊豆、河津桜満喫ツァー』に誘われたのだが、仕事で行けずに残念に思っていたところだ。
今度の仕事場は箱崎だから、木場なら見に来れるぞ。
ということで、お花見の節は、また寄らせてもらいます。
ご主人、奥さん、そのせつはまたよろしく。