Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

尾崎翠の世界をたゆたう

 

ご無沙汰いたして。。。

かけがえのない私の宝、ブログ友の皆さまには、もしかしたらご心配をおかけしたかもです。

体調はすこぶるよろしく、日々機嫌よく暮らしていましたけれども、インプットとアウトプットのバランスがつかめず、パソコンに向かう集中力を欠いた生活をおくっておりました。

 

親戚の法事で出かけた以外は、いつものようににゃんこに会いに日参。

それ以外は、とてつもなく魅力的な本と格闘しとりました。

 

尾崎翠さんの本

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尾崎 翠(おさき みどり、1896年 (明治29年) 12月20日 - 1971年 (昭和46年) 7月8日)は小説家。 作家活動は短かったが、今なお斬新さを失わぬ彼女の作品は、近年になり再評価が進んでいる。 Wikipediaから

 

尾崎翠は何年か前に、大好きなこの「ちくま日本文学全集」で読みました。

しかしながら冒頭の「こおろぎ嬢」で挫折。

しばらく放り出してしまっていました。

 

挫折したのは、集中しないと読めない作品だったからです。

それでもなんだか妙に気になる本で、苦労して読んでいる内に深みにはまる。

一度のめり込んでしまうと癖になるような独特な世界感ただよう作品群でした。

 

 

尾崎翠さんは私に、深い霧を抜けた先の見たこともない世界を見せつけてくる。

文脈にちょっとしたコミカルさがあって、少女の持つコケティッシュな魅力があって、

あっ少女というより中性的な魅力という方が近いかも。

とにかくツボにはまると抜け出せない魅力がありました。

 

でも。。。読みにくいのです。

自分がこんなにも読解力が低かったかと思わされました。

1ページ読んで、関係性や状況が全く頭に入ってこず本を閉じ、家事・雑事をこなしてから再読する。

さっき読んだところを再度、今度は俯瞰する角度から読み直して、やっと状況がのみこめる。

そういったくり返しでした。

そこに尾崎さんの魅力が、世界感が潜んでいるのかも知れません。

 

 

そんなワケで、同じ本の同じ作品を何度も何度も読み直したりしているうちに、

一週間があっという間に過ぎていました。

 

 

 

ちくま日本文学全集 020 尾崎翠

この本には、代表作の『第七官界彷徨』や『アップルパイの午後』も収録されています。

 

『第七官界彷徨』は、

「人間の第七官にひびくような詩」を書きたいと願っている赤いちぢれ毛の娘が、精神科医の長兄、肥料を研究している次兄、音大受験生の従兄が住む家に、炊事係として同居する話です。

ひとつ屋根の下で暮らす4人の日常が描かれています。

荒唐無稽、キテレツな描写が続きます。

特に、こやしの調合をしている臭いがただよう次兄の部屋の描写が面白い。

鈴木清純監督に「ツィゴイネルワイゼン」のような映画に仕立てて欲しい世界です。

 

 

尾崎さんの作品には、兄や、お寺や、薬や、人間嫌いの少女といったモチーフが沢山出てきます。

彼女の実生活が大きく反映されているのでしょう。

※ 次兄が僧侶、三兄が東大卒の肥料の研究家。

父親が小学校の校長だったという翠さんは、学業優秀で鳥取高女から日本女子大国文科に進みました。

日本女子大在学中に、文芸誌に創作を発表したことが問題となり、自主退学し文学の道に進むが、鎮痛剤の過度な服用で精神のバランスをくずし、38歳の時に長兄に強制的に鳥取に連れ戻されてしまう。

それ以降は文学上の知人とも友人との交信も途絶えてひそやかに暮らし、74歳で死去。

 

 

作家活動中は、太宰治や井伏鱒二などからも関心を寄せられ交際範囲も広がったが、鳥取に帰郷してからはパッタリ筆を折ってしまった。

存命中よりもむしろ、亡くなってから再評価された作家でした。

 

 

『途上にて』がわかりやすかった

ちくま収録の中で、一番わかりやすかった作品は『途上にて』だったかな。

恐らくこれも実生活から膨らんだ話と思われますが、冒頭の思い出の部分に女友だちと夜の街を散歩しているシーンがあります。

ある、それも今夜のように爽やかな秋の夜のこと、友だちは私の右の肩によっかかり、私は彼女の重みで舗道の底にのめりこみそうな思いをし、二人は散歩者の流れのなかを揉まれ、流されていました。

私の右の肩は、彼女の両手と顔だけでなく、みだれて重い彼女の心を、いってしまえば失恋の苦味を載せかけられていたことになります。

 

尾崎翠著『途上にて』p.246より

他の作品よりは、こざっぱりとして表現で情景が心に沁みました。

私はこういう作品が好きだけど、尾崎翠といえば『こおろぎ嬢』みたいな不可解な、何を伝えたいのか一口では言い表せない作品が代表作なんでしょう。

 

 

『こおろぎ嬢』にこんな一節がありました。

「厭人的性格の、粉薬の常用者は、《えて二階の借部屋に住んでいるもの》だ」

これは彼女が親友の詩人・松下文子と暮らした上落合のアパートのイメージではないかと思われます。

※ 尾崎翠は、1927年 (昭和2) 4月に親友の詩人・松下文子と 上落合のアパートの二階で暮らしていた。

 

当時のアパートの写真は、落合学さんが「落合道人」下記コンテンツで紹介されています。⤵

chinchiko.blog.ss-blog.jp

40年後にきた尾崎翠の衝撃。:落合学(落合道人 Ochiai-Dojin):SSブログ

情熱という名の女たち – その11 – | ほんばこや

 

川のほとりのアパートの二階、外に出るとむせかえるような草の匂い。

このイメージから私は、幸田文さんが書いた一節を連想していました。

幸田さんのは、

「どぶ川の悪臭がきつくて、匂いたつ花を一輪活けた」みたいなことでしたが、

妙にそれが思い出されて、どの作品だったか気になり本棚をひっかきまわしたけれど

わからず仕舞いでした。

いつもなら、わかるまでとことん探して記事にするけれど、今回は断念しました。

それがアウトプットとインプットのバランスを欠いたということかな。

いやあどうも。

なにはともあれ。

尾崎翠さんの世界は、深くて怪しくて悦に入ります。

この話、また続くと思います www

 

 

 

 

本日の昼ごはん

ジムの帰りのお土産、ここのまぐろ丼は美味し。

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本日の夜ごはん

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玉こんにゃく、もみ菜と厚揚げの炊いたの、じゃがいも炒め オーロラソース、

もつ煮込み、べったら漬け

 

べったら漬けが食べたくなったそうな。

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うん、わかるような気がする。

金沢で買ってきたこの皿にべったら漬け、最高のマッチングだわ w

 

 

創作 じゃがいもの卵とじ~オーロラソース

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意外と美味しかった一品です。

最初、じゃがいもの千切りを炒めて普通のソース味にしようと思ったんですが急に思いついて、

炒めて火が通った段階で、溶き卵を入れました。

卵が漫勉なくいきわたったら、混ぜっ返して、マヨネーズにケチャップを溶いたものを投入。

お子ちゃまが悦びそうなメニューに、我が家のおじすんおばすんも小躍り。

 

玉こんにゃく

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美味しそうだと思って買ってきた本人が「これ、食感苦手だわ」とリタイア。

私が全部食べる羽目になりました。

 

もみ菜と厚揚げの炊いたの

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マイブームです。

炒め物を極力なくそうと思い、厚揚げの油で野菜に火を通し、出汁で整えました。

 

 

もつ煮込み

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レトルトの美味しいもつ煮込みを一品追加。

寒い日に温まる一品。

 

これもあった、肉じゃが

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