松本清張『草の径』を読了。
かなり難航した。
難しい話はひとつもないが、何が伝えたいのか受け止めらきれない作品が多かった。
「モーツァルトの伯楽」「ネッカー川の影」「呪術の渦巻文様」は、ドイツやアイルランドのダブリンの紀行文に小説をからめたような話で、あまり知られていない地名が沢山でてきて、ひとつひとつに気をとられ本筋が頭に入ってこなかった。
そのため「ネッカー川の影」では、現地の地図や写真をネットで見つけてイメージをつかんだりした。そういった作業がなければ読みにくい内容だった。
比較的 小説らしいものは、「死者の網膜犯人像」と「
「死者の網膜犯人像」は、医学が進んだ近未来? 死者が最後に見たものが眼球に残ることを利用して犯人を逮捕しようとする話。
「隠り人」日記抄は、党中央委員のMが、ギャング事件と熱海での一斉検挙を仕組み、党を壊滅させた。スパイMは検挙後消息を絶ったが、戦後、北海道で身を隠していたという設定にしてMの貧乏な暮らしを書いているもの。
「夜が怕こわい」
「夜が
75歳の主人公が胃潰瘍 ( 本人は癌とわかっている ) で入院しているベッドでつらつら思っていることを書いている作品。
眠れない夜は、父が話をしていた故郷・島根県のことを思い出している。
父・木下平吉は、島根県邑智郡矢上の分限者の家の長男として生まれたが、乳飲み子の時に、四里離れた因原の原口家に養子に出されている。
原口では、平吉を里子としてではなく養子の約束といい、生家と里親との間で交渉がもつれ、長引いている間に木下家に次男・三男と生まれたため、木下夫婦はついにあきらめ、平吉の原口家への入籍を認めた。
平吉は年に三四回、生家を訪れ弟たちと遊ぶことを楽しみにして育ったが、母のユキが死に葬式の夜に、原口家には戻らずに出奔。
峠を越え、広島に出て働いた。
主人公は、父の峠越えの話を聞き、父が亡くなってからその道筋を辿る旅をしている。
眠れない病院のベッドで、「三吉の道中双六」にならい、父の気持を汲んで「出奔道中双六の唄」を毎晩すこしずつ作っていくのだった。
本日の夜ごはん
うりの浅漬け、棒棒鶏、冷ややっこ
山形のだし、にくじゃが、新玉ねぎの酢の物、茶豆
肉じゃがは、練馬IMAで購入した最後のブランドじゃがいも
とても甘くてほろほろとしていて美味しいじゃがいもだった。
とじ込みは、「夜が怕い」を読むのに参考にした地図の備忘録
こんな記述を読むのに参考にしました。
父は島根県
邑智 郡矢上村の生れであった。「石州の
江 の川が流れたところに因原 という渡し場のある賑やかな村があるがのう。そこから南に入ったところが
断魚渓 じゃ。日露戦争のころ、大倉桃郎という人が懸賞小説に断魚渓を舞台に小説を書いて出征し、戦地で当選の知らせを受けたというので、わしが広島に居ったころに新聞でだいぶん評判になったもんじゃ。
断魚渓を流れとる川が西へ折れ曲がったところが矢上村じゃ。
矢上はあのへんで一番大きい村でのう、明治三十三年には矢上製紙株式会社が出来とる。昭和三年には矢上銀行ができとる。邑智郡南部の中心じゃ。
というのは、矢上には昔から砂鉄の『かんな』や『たたら』とがあったけんのう、そして諸国から
鉄穴師 、人夫たちが矢上に来とって、なかなかの賑わいじゃった。
わしの生れた矢上村の木下家は、その『かんな』も『たたら』ももっとる山持ちじゃった。分限者じゃ。」
松本清張 著『夜が怕い』p.301より
島根県邑智郡出羽村 (32B0140012) | 歴史的行政区域データセットβ版