Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

本を読む

野田宇太郎『文学散歩』から神田錦町を想う

図書館から借りて来た 野田宇太郎の「文学散歩 別巻2」を読み始めたら、 昨日の『護持院ヶ原の敵討』と見事にリンクしている章にぶち当たりました。 なんとも偶然。 いえいえ、これはよくあることです。 本に呼ばれたのでしょう 図書館や書店の本棚を眺めて…

武士の敵討ちについて

森鴎外『護持院ケ原の敵討』から、菊池寛『恩讐の彼方に』と、何故か偶然、 江戸時代の敵討ちの話を読み継ぎました。 二作とも、近年の作家が書く時代物小説と一線を画している点に感心させられました。 池波正太郎 (1923~1990)、司馬遼太郎 (1923~1996)、…

森鴎外 著「高瀬舟」について

森鴎外の「高瀬舟」について考えています。 「高瀬舟」は、弟殺しで遠島の刑を受けた罪人・喜助と、彼を護送する同心・羽田庄兵衛との舟の上の話です。 ざっくりした筋はこちら これから遠島に送られるという喜助の様子が常の罪人らしからぬ明るいのを見て不…

少年少女むけの文学全集を手にして

最近、読み始めた本です。 これは1959年、昭和34年発行された全集です。 左のなどは、まだ作者のハンコをひとつひとつ押してたものでした。 本を作った人の中に、志賀直哉さんの名前があった。 少年少女と書いている全集ですが、対象は中学生です。 それぞれ…

松家仁之『泡』

これといった予定も仕事もないので、オハラショースケさんを決め込んだ。 温めの風呂で半身浴をしながら、この本をまるまる一冊読了。 あらすじ 高校二年生になって間もなく、学校に行けなくなった薫(かおる)は、ジャズ喫茶を営む大叔父・兼定(かねさだ)のも…

門井慶喜 著『家康、江戸を建てる』

門井慶喜 著『家康、江戸を建てる』を読んでいます。 秀吉から国替えを促された家康は、秀吉に駿河、遠江、三河、甲斐、信濃を渡し、 関八州をもらって江戸の町づくりを始めた。 太田道灌が築いた江戸城は、道灌が根城にしたころには関東の名城と呼ばれたこ…

武者小路実篤 著『愛と死』

武者小路実篤 著『愛と死』を再読。 友人野々村の妹-夏子は、逆立ちと宙返りが得意な、活発で、美しい容貌の持主。 小説家の村岡は、野々村の誕生会の余興の席で窮地を救ってもらって以来、彼女に強く惹かれ、二人は彼の巴里への洋行後に結婚を誓う仲となっ…

芥川龍之介著『雛』

芥川龍之介著「雛」を読了。 この短篇は、ある老女の回想の形で書かれています。 時は明治。 裕福な商家に生まれた少女は、15歳のときに大切な雛人形を手離さなければならなくなりました。 少女の家は徳川時代から大名に金を用立てる金貸し業を営んでいまし…

尾崎翠の世界をたゆたう

ご無沙汰いたして。。。 かけがえのない私の宝、ブログ友の皆さまには、もしかしたらご心配をおかけしたかもです。 体調はすこぶるよろしく、日々機嫌よく暮らしていましたけれども、インプットとアウトプットのバランスがつかめず、パソコンに向かう集中力…

芥川龍之介「あばばばば」

芥川龍之介全集の第十巻を読みふけっています。 第十巻を勝手に随筆集だと思っていましたが、そういう訳でもなく短篇もちらほら。 友人の久米正雄や、谷崎潤一郎氏のこと、飯田蛇笏さんのことを語っていたり、 「保吉もの」と言われるシリーズもいくつか収録…

イプセン『ペール・ギュント』

凄く有名なのに、読んでいなかった作品が山のようにあります。 先日 読んだ「老人と海」もそうだし、 「ペール・ギュント」 も、ちゃんと読んでいなかった。 というワケで「ペール・ギュント」毛利三彌さん訳で読了。 ※ 言語の訳としては毛利さんでしょうぜ…

芥川龍之介の雑記を読む

先日アップした、両国「小泉町」の記事に、 たまうきさんから、次のコメントをいただきました。 ni-runi-runi-ru此処ら辺り芥川が移転した13年後に震災により大火災が発生した所。で、ふと、芥川が大震雑記で「小泉町」のことについて何か書いてあるか、と思…

ヘミングウェイ 『老人と海』

今ごろですが、感動作を読みました。 ほんとに今ごろ。 ずっと興味を惹かれながら、なかなか読めなかった本でした。 図書館では「貸出中」だったり、本屋では、ヘミングウェイの棚にこれだけなかったりで、なかなかゲットできずにいる内に忘れてしまい、数年…

林房雄『息子の青春』

林房雄 著「息子の青春」を読了。 主人公は流行作家-越智さん。 越智さんとその家族の話が、コミカルに爽やかに描かれている作品です。 家族構成は、47歳小説家の越智英夫さん、妻の千代子さん、長男の春彦君、次男秋彦君、お婆ちゃん。 舞台は、終戦後まも…

光の犬 メモ書き

最近、ブログで読んだ本の話をすることが減りました。 読書の秋なのに・・・ 読書してないワケではなく、コンスタントに本は読んでいます。 読了した本は、どれも面白く興味深いことが沢山書かれていて、私を知らなかった世界に連れていってくれます。 ただ…

ワクチン2回目終わりました

2回目のコロナのワクチンを副反応で大変でした。 日ごろから高熱が出ない性質なので、38度1分熱発しフーフーいってしまいました。 体中の関節が痛いし、頭痛はするし、めまいはするし、、、 一緒に接種した となりのおじさんはピンピンしてて「今日も介護の…

岩野泡鳴 著『沈溺』

岩野泡鳴の『耽溺(たんでき)』を読了。 図書館から泡鳴の『人か熊か』が届くまでのつなぎです。 蔵書の筑摩現代文学大系から 『耽溺』は泡鳴の代表作で、1909年 ( 明治42 ) 2月『新小説』にこの作品を発表し、 泡鳴は、自然主義の作家として認められたのだそ…

島木健作と有島兄弟について

年中繰り返し読みしている本がありまして。 島木健作さんの遺作にあたる日記なんですが、これに沢山の本が登場します。 読みかえす理由は、そこに出て来る本を追読しているから。 「島木さんは里見弴が嫌いらしい」という話は前にしましたが、 その文章で引…

三田完 『俳風三麗花』『草の花』

今週は、かなり早いペースで本を読みました。 通常予約の2冊に加えて、順番予約の本が重なったからです。 三田完 著『俳風三麗花』と、続編『草の花』 松家仁之 著『光の犬』 結局 三田さんの二冊は読了したものの、松家さんの「光の犬」にさしかかるも1/3読…

三田完『俳風三麗花』から横道にそれてます

今、つらつらと読み出している本がこの一冊 読書の先輩-よんばばさんが書評をお書きになっていらしたのを見て、 『草の花』の前作『俳風三麗花』を借りてきました。 hikikomoriobaba.hatenadiary.com この本は、俳句会に集う三人の女性を通して昭和初期のよ…

中山義秀 著『厚物咲』

最近続けざまに、中山義秀の本を読んでいます。 キッカケは、島木健作の『扇谷日記』に出て来たことです。 島木健作は里見弴が嫌いらしく、中山義秀が里見弴の『金』を褒めたことをいぶかしく感じています。 昨年に作家等が顔を合した時、中山君が里見氏に「…

アンカットの本

里見弴著『かね』は、こんな古い本で読みました。 全集を持っているので、そっちで読んでもいいんですけれど、 この方が好きなので。 汚っちゃなーい、なんて引かないで (;^_^A この本の軽さは尋常じゃない。 とにかく乾ききった紙なので、羽のように軽いの…

島木健作の感想を考える

里見弴著『かね』を再読、 つづけて中山義秀著『厚物咲』も読みました。 愛著『扇谷日記』で筆者の島木健作が、里見弴の『かね』を酷評していたから、 どんなものなのか読み比べてみたくなったのです。 garadanikki.hatenablog.com 島木さんは著書でこう言っ…

本から本へ

現在、併読している本は以下の3冊。 島木健作『扇谷日記』 野田宇太郎『文学散歩 別巻1』 ダーチャ・マライーニ『メアリー・スチュアート』 どれもすぐにピンと跳ね返るようなフレーズには乏しいが、 考えさせられる事柄は満載で、ここから関連して読みたく…

呉越同舟の人

蒲原有明さんの旧居のことを調べるにあたり、この一冊も大変参考になりました。 林 房雄著『文学的回想』 楽しみながらゆっくり読んでいます。 いま 半分まで来たところ。 昔の本は素敵だ。 布の平の出が美しい! 美しいだけでなく、とても良い肌触りです。 …

蒲原有明旧居の謎

コロナが蔓延して、趣味のぶら歩きが出来なくなっています。 大好きな鎌倉はおろか近隣の徘徊も出来ないので、古い写真やブログを見て楽しんでいます。 実際に歩かなくても、昔たどった場所で気になった物事を調べる作業も 結構面白いものです。 今回も、8年…

乙一『GOTH リストカット事件』

乙一『GOTH リストカット事件』を読んでいます。 「暗黒系」「リストカット事件」を読み終えて、 「犬」の序章で進めなくなっています。 この本はミステリーです。 主人公の「僕」と、同級生の「森野夜」の周囲で次々と猟奇事件が起こります。 事件はグロテ…

コレット『シェリ』

コレット著『シェリ』を読了。 先に観賞した映画「私のかわいい人-シェリ」の原作です。 河野万里子さんの訳はとても読みやすかったです。 映画では、49歳のレア ( 元高級娼婦 ) と24歳年下のシェリと付き合うようになったあたりが割愛されていて、2人の関係…

大田十折さんの作品を尋ねて

「草葉の陰で見つけたもの」を読了。 この本は、よんばばさんが紹介されていて興味をもったものでした。 「草葉の陰で見つけたもの」「電子、呼ぶ声」の2作の短編が収録されていて、 表題の「草葉の~」で作者は「第一回小説宝石 新人賞」を受賞しています。…

恩田陸『チョコレートコスモス』

恩田陸『チョコレートコスモス』を読了。 この本との出会いはひょんなことだった。「図書館行くけれど、返却とか取置きとかある?」 家人に聞いたら「じゃ、これ返却」と手渡されたのがこの本だった。《恩田陸》とあるので、アラと反応。 「演劇の話だったけ…