Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

暮しの手帖 88 里見弴

NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」を見ていたら、

続いて「『とと姉ちゃん』と、あの雑誌 」というドキュメンタリーが始まりました。

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ナビゲーターは、ドラマの小橋姉妹の恩師--東堂 チヨを演じていた 片桐はいりさん。

彼女が訪ねた先は、大橋鎭子さんが生前暮らしたお宅。

上の写真は、撮影でも使われたという台所です。

壁には鍋フライパンがかかり、足元の棚を開けると斜めに傾いた棚にボトルが入る仕組みになっていたり、、、暮しの手帖で紹介されていたような、使い勝手の良い工夫に満ちた台所でした。

 

ドラマを見て「そういえば母も購読していた」という方も多いと思いますが、

我が家でも母も私も「暮しの手帖」の愛読者でした。

 

懐かしい、一冊手に入れてみようかな

ヤフオクで検索すると、あれまあれま凄い高値です。

特に紹介されていた号や、創刊号などは1万円近くで競り合っています。

 

む む 無理だ

テレビの力は凄いもの、一気に実物を手にしたくなった人達が殺到したようです。

そんな中、つらつらと見ていたら、手ごろな値段で出されている号がありました。

しかも「里見弴」という表記もある。

早速、入札。競争相手なして落札出来たのが、コレです。

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ああ、懐かしい。

1967年といえば、母が購読していた頃。

まだ小さかったですが、恐らく母を真似してパラパラ見ていた号だと思います。

 

あったあった。

名物記事「〇〇を比較検討する」

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今回は魚焼きグリルの性能を調べているみたいです。

この企画は本当に画期的でした。

 

ドラマでも現在、編集長の花山伊佐次(唐沢寿明)が社長の小橋 常子(高畑充希)と衝突しちゃって、辞めてしまったところです。

原因は、雑誌に広告を載せる載せないの話。

花山編集長は、スポンサーがいると書きたいことが書けなくなるという意見でした。

 

覚えてます。確か私 ( いえ母 ) が購読している頃の雑誌は広告はなかった。

母が「この本は凄いのよ、商品テストをするのに邪魔だからと広告がないの」と、

自分の手柄のように威張っていたっけなぁ。

 

この後ドラマの方は紆余曲折あり、落着くところに落ちついていくのでしょうが、ちゃんと「書きたいことを本にするためには経済も考えないとならない」と悩む主人公の心境が丁寧に描かれています。

さてこの先どうなるやら。。。

 

さて実物の雑誌ですが、ありました里見さんの記事。

あれ~短編でも掲載されているのかと思ったら違いました。

 

「わたしの好きなおかず」という特集に出ておられた。

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あっこのご老人は違います、里見さんは下の方。

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湯どうふを前に、ご機嫌さん。

 

湯どうふ 里見弴

「腐っても鯛」といふ可笑しな俚諺 (ことわざ)があるが、いかな鯛好きでも、腐ってゐては閉口だらう。わが家の食卓に、夏は冷して、冬は暖めて、週に一度や二度、やっこに切った豆腐のもち出されないことは稀、といふほどの豆腐好きだけれど、やはり豆腐ならどんなのでも結構、とは言へない。近所にうまい豆腐を造る店があるからで、まづいのなら御免かふむる。

 「食通」と呼ばれる人々には、食物の話になると、きまって「どこそこの」と、それの産地や製造元の名を被せたがる癖があり、聞く耳にはあまり快く響かないが、さうかと言って、羊羹なら、蕎麦なら、鰻なら、ビフテキなら、いつなんどきでも飛びつく、といった風な、偏執的な嗜好 ( このみ ) もどうかと思はれる。

 食物に限らず、人生萬般への嗜好は、すべてさうしたものだらう。

 ( 自宅で )

 

里見さんの文章だ。(*´▽`*) やっぱり買って良かった。

ご機嫌の里見さん同様、ニマニマしながらページをくっていたら、

雑誌を覗き込んだMOURI が、CMの北大路さんよろしく「なんだこれは」と言ってます。

 

殿が驚いたのがこのページ。

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カラーのページとモノクロのページが交互になっている。

今、こんなことをしている雑誌はないんですって。

版は全紙に印刷したものを折りたたんで16にして裁断する ( この説明でいいのか? ) 

んですが、

カラーとモノクロを交互にするというのは、一枚の紙をカラー用の印刷機からモノクロ用の印刷機に移さなければならない上、裁断したものを手作業でテレコにしないといけないらしい。 ( いいのか、この説明で・・・ ) 

 

要するに、凄い人件費がかかってる

大量の販売数の雑誌なら絶対に不可能な作り方。

本当に凄い凝ってることらしいのです。

ドラマで花山編集長や小橋社長が、内容のみではなく、色にも質感にもこだわり抜いて雑誌作りをしたというのは、こんなことだったのですな。

 

もうひとつ驚いたのがこの記載

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表紙 花森安治 に始まって

「編集」「製作」「印刷」などに、この雑誌に携わった人たちの名前が書かれています。

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凄くないですか? これ。

こういうものだったかしら。

いえ多分今は、割愛されているんじゃないかと思います。

 

そして裏表紙に、あの 有名な言葉。

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これは あなたの手帖です

いろいろのことが ここには書きつけてある

この中の どれか 一つ二つは

すぐ今日の あなたの暮しに役立ち

せめて どれか もう一つ二つは

すぐには役に立たないように見えても

やがて こころの底ふかく沈んで

いつか あなたの暮し方を変えてしまう

そんなふうな

これは あなたの暮しの手帖です

 

 

 

「暮し手帖」すてきな雑誌です。