Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

小山清『その人』

 

小山清 著『その人』読了

【内容】

窃盗で服役した主人公 ( 私 ) は、刑務所で麻をう仕事 ( 鼻緒のしんを作る ) に従事している。

〈その人〉とは、私が配属された十一工場を担当する看守。

私は不器用に加え努力も怠っていたため、皆より劣った量しかできなかった。

そんな私に〈その人〉は、刑務作業とは別に「本読み」をするように命じた。

 

本読みとは、昼休みに仲間のために本を読んで聞かせる仕事だ。

おそらくは本業の成績が悪いのでその課程を補えるようにという厚意と思われる。

私は、毎日の本読みを楽しんだ。

しかしそれまで読んできた本を読み終わり、次に渡された本を見ると、悲劇小説とでもいうか、ひと昔前縁日の本屋などで並べられた通俗の本だった。私は、その本をどうしても写実的には読めずに、泣くところや声を出して笑うところをきまり悪がり、抜かして読んだ。

〈その人〉はそういう私の読み方に不満を感じたらしく、結果、その本を三回ほど読んだところで、九工場に移動となった。

 

九工場は機織りの仕事で、ここでも私は仕事が出来なかった。今度の担当はたびたび私に拳固をくれたり向う脛を靴で蹴ったりして「貴公、よっぽどでれ助だな。」「東京でよく電車や自動車に轢かれなかったな。」といった。

 

九工場の冬は寒く、凍傷になりそうな過酷な作業だが、労力は麻綯い ( 十一 ) より機織りのほうが重かったため、飯の量が多かった。

しかしここでも私は使い者にならず、元の九工場にかえされてしまう。

悲しい気持ちを抱いて出たところへ、また別な悲しい気持ちでいやいやもどることになるのだが、やはりそこでの〈その人〉は「なんだ、また帰ってきたのか。いくじなしめ」と言葉をかけてくれた。

 

 

 

 

この物語は、著者・小山清が水戸刑務所に服役した ( ※末尾 ) 時の私小説だと思われる。 

刑務所での看守と受刑者のやりとりや、舎房での生活や、季節行事のことが、主人公の眼を通して描かれている。

主人公は、引っ込み思案でなかなか人と打ち解けることが出来ず、仕事をさせれば不器用であることから、人一倍辛い服役生活を送る。

そんな主人公に対するその人の言動を、著者は〈心を向けてくれた〉という言葉で綴っている。

優しくでもなく、冷たくでもなく、ただ心を向けるという言葉が、とても印象的だった。

そんなことが書かれた一文がコチラ⤵

⸻まもなく部長になるのだ、そんな噂を仲間の者達はしていた。私のここでの生活は全くその人に依存していたのだ。もしその人に心を寄せてくれることがなかったならば、私は心細い思いでずっとつらい月日を送っただろう。弱虫で、その癖頑なな、人から親しみを寄せられない質の私が、こうした束縛された雑居生活に在って、なおその間を人間並みに送ることが出来たのは、その人の心の下にいたからだ。私はずい分助かったわけなのだ。その人にたよれなかったら私は仲間に馴染むことももっと薄かっただろう。すべたの事が親しみなく過ぎていったことだろう。そこを出て九工場へ行ったあの時、その人は私を冷たい眼でチラと看ただけだった。そしてそれには私はまいったのだが。・・・また自分の監督の下へかえってきた私にその人はまた心を向けてくれた。そしてそういうその人の心にいつかまた私はたよっていたのだ。そしてそれは終わりまでつづいたのだ。私のような不甲斐ない物を気の毒に思ってくれた一人の生活人がいたのだ。

 

 

私が読んだ本

私はこの本を、初出の「八雲 第三巻第六号」で読んだ。

紙質は悪いし、旧字 旧かななので捗らない。

それでも古い本が持つ独特な香りと、初版本を読む高揚感が私は好きで読み終えることが出来た。

 

今は、青空文庫で読めるし、その人

あべよしみさんの朗読をYouTubeで聞くことが出来るので、良かったら読んでみてください。

youtu.be

 

 

 

私小説かも知れない

小山清、その人、で検索をしてもネットには詳細も感想もヒットしないが、

この小説は、小山清が服役した時のエピソードから書かれたものと思われる。

小山は25~6の時に、島崎藤村の世話で日本ペンクラブ初代書記になるも、公金を使い込み8か月服役をしている。

 

『評伝 小山清』

当時の事件は『評伝 小山清』を読めば詳らかになるだろうが、件の本は希少本で古本の価格が13,500円ととても手の届かないもの。

勿論、渋谷区や世田谷区の図書館にも蔵書がなく、読むには別の区から借り受けなければならない。

 

昔からこの『評伝 小山清』が気になって仕方がない。

10年前に、新宿区から渋谷区図書館経由で借りて、最初の章だけ読むことが出来たが、他区から図書は延長が出来ないので読み切れずにいる。

やっぱり、清水~の気分で買ってしまおうかなあ。。。。。

 

 

 

2026年04月20日 昼ごはん

金ちゃんラーメンの鍋焼きうどん

 

 

2026年04月20日 夜ごはん

28の日の商品から、鶏の唐揚げ

 

じゃがいもと桜エビのソース炒め

 

業務スーパーで買った冷凍のオムライス

これは・・・・もう

買わなくていいかな (;^_^A