上田に行くと、必ずといってよいほど食べに行くお蕎麦屋さんがあります。
「そば処 いちや」というんですが、住宅地の中にあって民家をそのまま使って営業されているので、まさに隠れ家的名店です。
お昼はお蕎麦が中心なんですが、夜は予約制でコース料理が食べられるとのこと。
クリスマスイブにお蕎麦なんていいじゃないですか。
私が飲めるようにと上田の母の家からタクシーで行きました。
「へぇ、こんなところに蕎麦屋さんがあるんですか」
「美味しいんですよ」
「いいことを伺いました、女房と来てみます」
いちやさん、タクシーの運転手さんにも宣伝しておきましたよ、
近々、来店予定。
夜の玄関も素敵だ。
予約制ということで、他にはお客さんはいません。
ご主人が最初に出してくれたのが、茹で落花生。
「この首のところをこうして」と、割り方を教えてくださいましたが、
知ってるのよね (笑) 。茹で落花生、好物だもの。
茹で落花生でビールを飲んでいる間に、焼きしいたけが配されました。
おおおっ、こういうの好き❤
信州は、きのこが美味しいです。
しいたけをサッと焼いて、ほんのりした塩気は醤(ひしお) だそうです。
うーん、やるなおぬし、美味しいですご主人。
「これはいかがでしょう」と紹介されたのが蓬莱のまるしぼ タ号。
蓬莱、だいすきーーーー
この酒器もすてきーーー
お猪口も沢山ある中から選ばせてもらいました。
私はコレにした、ゴツゴツしているのはいつもはあまり手にしないんですが、
何だかとても気になった。
何故か・・・お酒を入れたら底の緑が引き立ちそうな予感がしたから。
トクトクトク
ほら。
写真ではあまりわからないですが、肉眼だと凄いです。
底の緑が、生きてるみたいに際だつから不思議。
豆腐の麹和え
これは美味しい。
絹ごし豆腐を麹でなんかしてる。
なんかというのはわからないということ。
これはいい、絶対にやってみる。
しじみのお椀
朱塗りのお椀は、しじみ汁でした。
白みそかなと思ったら、味噌に粕が入ってました。
胃にすーーっと入っていく、なるほど発酵パワーが本日のテーマかな。
鶏とりんごと春菊
「一緒に食べてみてください」と言われて食したのが、鶏・りんご・春菊でした。
春菊は生で食べられる新鮮なものです。
なんという組み合わせでしょう。
鶏もも肉の焼き加減も塩の加減も絶品。
りんごと春菊が鶏肉の脂をすっきり流してくれるし、味のアクセントも抜群。
これも真似をしたいです。でも生で食べられる春菊なんてそうは手に入らない。
凄い和え物
美味しい!!!
何だと思いますか?
アボカドと、緑の大根と、胡瓜のキューちゃんです。
ごめんよ、ご主人。
「胡瓜のキューちゃん」だなんて、そう言わないと皆さんに伝わらないと思ったからさ。
胡瓜の漬物だって、もちろんご主人の手作りですって。
胡瓜を干して、みりんや醤油で味を入れてとても高級な胡瓜のキューちゃん。
それに甘くてさっぱりして美味しい大根おろしとアボカドの組み合わせは、これまた凄い。
炊き合わせ
お正月に見習いたいと思う、これもたいそう美味しい炊き合わせです。
信州上田は野菜がとても美味しいのですが、
その美味しい野菜がご主人の手にかかると優しい上品なふくよかな煮物になります。
ふくよかなといえば、このお酒もふくよかでウマい。
豆腐の麹漬け
いやぁ、これもウマい、ウマすぎるぜ。
さきほどの豆腐が美少女だとしたら、
こちらの豆腐は熟女です。
予想通り、今日のご主人は《発酵》で攻めてきているようです。
しかし、どんどん発酵度に磨きがかかってきた。
このコースの展開は憎らしいほどのものです。
馬刺し
ここにきて、馬刺しです。
凄いです、にんにくもキリっとして美味しい。
「ちょっとお口直しを」と配されたのがこれまた凄い!!!
よんばばさーーーん、浜納豆ですよ、浜納豆。
美味しいです浜納豆。
酒にバッチリです浜納豆。
にくい采配だわ、ご主人。
いちやさんは、料理も配膳もご主人がひとりでこなしています。
次の料理を作っている間には、こういう浅漬けが。。
牡蛎ともずく
この組み合わせもにくい。
茹でた牡蛎にもずくを合わせるなんて。
本当に美味しいです。
〆は、もちろん 蕎麦
〆のお蕎麦は、お揚げさんときのこのアツアツの汁につけて食べる。
このつけ汁のまた、ウマいこと。
いちやのご主人の味付けは本当に優しいのです。
身体だけでなく心まで温かくなる味。
これはMOURI のもり蕎麦
これは母のもり蕎麦
何回か通っている間にご主人は見ていらしたんでしょう。
母が食べきれなくているお蕎麦をMOURI に食べてもらっていたことを。
そんな光景を見て、私たちの腹加減はご主人の頭の中にインプットされているらしい。
デザート
デザートは干し柿
いや、このコースの味のバランス。
野菜、肉、豆腐、肉、豆腐、牡蛎、、、、といくコースの流れは見事としかいいようがありません。
もう終わりかと思ったら、最後に焼きみかん。
今年 ( 2018 ) のクリスマスイブは最高でした。
こんな豪華な贅沢なコースを食べられて、しかも貸し切りでしたの。
別に貸し切りにしていただいたわけではないけれど、
「クリスマスに蕎麦というのは、お考えにならないんでしょう」とご主人はおっしゃってましたが、
こんな素敵な料理でクリスマスを迎えるなんて、大人だったら一番素敵な時間だと思います。
本当に全部、美味しかったです。
ごちそうさま。
そしてありがとうございました。