久しぶりのぶらMarcoは、自転車で目黒まで。
目的地は三か所。
まずは、目黒雅叙園から。
目黒雅叙園といったが、現在の名称は「ホテル雅叙園東京」だそうで景観も随分変わっていた。
百段階段は、位置的には正面の白壁の建物から奥に登るものなのだろう。
雅叙園の入り口には「お七の井戸」があった。
八百屋の娘お七は、恋こがれた寺小姓吉三あいたさに自宅に放火し、鈴ヶ森で火刑にされた。
吉三はお七の火刑後僧侶となり、名を西運と改め明王院に入り、目黒不動と浅草観音の間、往復十里の道を念仏を唱えつつ隔夜一万日の行をなし遂げた。
明王院という寺院は、現在のホテル雅叙園東京エントランス付近から庭園に架け1880 ( 明治13 ) 年頃まであった。
この明王院境内の井戸で西運が念仏行に出かける前にお七の菩提を念じながら、水垢離をとったことから「お七の井戸」と言い伝えられている。
自転車を地下駐輪場にあずけ、
ホテルの正面玄関に入る。
正面入り口左手にあるのが「百段階段」専用エレベーターなのだが、
エレベーター扉も内部も、螺鈿細工貼だ。
3階に上がったら靴をぬぎ、靴は袋に入れて持ち歩くシステム。
ここは階段の一番下。
見上げても最上段が見えないのは、
階段が途中からカーブしているから らしい。
十畝の間
天井には前室に8面、本間に23面の襖仕立ての鏡面に荒木十畝による四季の花鳥画が描かれている。
漆喰の螺鈿細工が見られる重厚な作りの部屋。
長押が螺鈿とは!
天井の金具細工も見事!
漁樵の間
室内はすべて純金箔、純金泥、純金砂子で仕上げられ、
彩色木彫と日本画に囲まれている。
かなりコテコテの印象が・・・。
床柱は左右とも巨大な檜で、精巧な彫刻 ( 中国の漁樵問答の一場面 ) が施されている。
格天井には菊池華秋原図の四季草花図、
欄間には尾竹尾竹坡原図の五節句が極彩色に浮彫されている。
草丘の間
障子建具は非常に手の込んだ面腰組子。
格天井の秋田杉及び欄間には礒部草丘の四季草花絵、瑞雲に煙る松原の風景が描かれている。
次の部屋は、、、見ると階段だけ。
立て看板には、こう書かれている。
「この場所が階段だけなのはいくつかの理由があります。その昔、隣の棟に繋がる廊下があったがそれが不要になり取り壊したこと。そして、別の部屋を増築しようとしていたが戦時中に消失してしまったという理由です。戦火を潜り抜け、旧目黒雅叙園はよく残った・・と思われる方も多いと思います。実は戦時中は海軍の病院としてこの建物は使われていました。赤十字の旗を立てたこの場所は空襲から逃れた地域でした。しかしながら、近隣の空襲時に飛んできた火により本館 (1号館 ) と二号館の一部は消失したのでした。改めて、時代を経たものが次世代に受け継がれていくことの大きな意味と価値を感じます。」
ここでちょっと下を見る。
つるつるに磨き上げられた階段が足に心地よい。
わずかに右にカーブしている箇所があり、一番下が少しだけしか見えない。
静水の間
奥の間の床柱は黄檗丸洗。
格天井の秋田杉には池上秀畝の鳳凰・舞鶴などが描かれている。
欄間四方には小山大月の金箔押地秋草が描かれている。
次の間の天井及び欄間は橋本静水等の画伯によるもの。
階段の窓枠の意匠も面白い。
星光の間
奥の間の床柱は北山杉天然絞丸太で、
次の間の床柱は槇出節、
両室とも格天井及び欄間いっぱいに板倉星光の四季草花が描かれている。
このあたりは、階段ではなく平らになっている。
清方の間
美人画の大家、鏑木清方が愛着をもって造った落ち着いた静かな茶室風の室。
特に奥の間の床柱は径一尺五寸の北山杉の天然総絞丸太で、
このような逸材は今日、市場でもなかなか見出せないものだとのこと。
廻り廊下の北山丸太を扱った化粧軒、障子建具、組子など、細心の造り。
扇面形杉柾板に四季草花、欄間の四季風俗美人画ともに 清方の筆。
99段で終わり
頂上の間
天井画は松岡映丘門下の作品。
前室、本間ともに格天井で、本間の床柱は黒柿の銘木を使用。
ここまで展示されているメダルを見ながら登ってきたが、
正直言うと、百段階段の各室は私の趣味ではない。
どの部屋も巨匠の画家の手によるもののようだが、「どうだ」とばかりの押し付けがましさを感じ、
私にとっては、あまり居心地の良い空間ではなかった。
むしろ名も刻まれていない名工による、階段の窓の建具や鍵具に惹きつけられる。
和ガラスから見える外に景色に目がいく。
敷地の外からこの建物を眺めてみたくなった。
百段階段では、今回のような催しに使われるほか、披露宴や、ランチも楽しめるらしい。
ご興味のある方は是非⤵
こういった文化財は丁寧に保存されていたとしても、いつまで見学できるかわからない。
いずれ耐久性などの問題で一般公開がされなくなる日もあるかも知れないと思っての見学だった。
靴ぬぎスペースからロータリーを見る
ホテル中庭から正面玄関の建物を見る。
緩いカーブの瓦屋根に黄金のシャチホコらしきものがあった。
1時間半ばかりの滞在の後、次に向ったのは星薬科大学である。
以前 道に迷って入り込んだ際、銀杏並木が見事だったので再訪したいと思った場所。
残念ながら少し遅かった。
道路に落ち葉でも積もっていれば絵になったが、綺麗に掃き清められていた。
やはり時期を逸した、来年は11月にねらってみよう。
大学の門の向こうに、にゃん。
お腹がたぷんたぷん、子育て中の牝猫かな。
声をかけたら愛想よく「にゃー」と返事をくれたが、
こちらからは入れないし、カリカリもないので挨拶だけで別れることにした。
ここまで来たのだから寄ろう!
鶏肉専門店「信濃屋」
鶏肉は、先日練馬IMAで大量に買ったばかり、
今日は焼き鳥だけにした。
先客がひける間に出会った、にゃん。
まあ、かわいらしい。
正面のお顔がまた、、、ひょうきんなこと。
今日のぶらMarco自転車は、こんなところで終了。
コロナが収束したら全力で徘徊したいが、今年はこれで最後かも知れない。