初版・初稿・初出。
紛らわしいですが、全然違う意味ですよね。
初版は、発行した本の最初に刷ったもののこと。
初稿は、第一稿のことで原案もこれに属すと思います。
して、初出。
恥ずかしながらずっと「はつで」と読んでいましたが「しょしゅつ」というのが正しいようで、
作家が初めて世に出す、活字になったものを指します。
よくあるのが雑誌に発表し、後に本として刊行するケース。
初出で読むのって、何だかワクワクしませんか?
一番のりですものね。
最近では、火花。
又吉さんが小説を書くと聞いて本屋に行くも、売切れで、
やっと手に入ったのは第二版でした。
この手の、純文学の月刊文芸誌が増刷されることは、本当にまれなんだそうです。
又吉さんも芥川賞に輝いたし、文学界の初版を持っていたら、50年後には大変な価値になったりして。。。。わからんケド。
夏目漱石、太宰治、芥川龍之介、森鴎外、、、、、そんな有名どころの初版本や初出は、まあめったにお目にかかれませんし、あったとしても何十万の世界でしょうね。
じゃこのあたりはどうかしら。
群像のふるーい号です。
左から、昭和28年3月号、昭和33年2月号、昭和28年新年特大号
この中に、小山清さんの小説が掲載されています。
真中の2月号には「啓吉」が。。。
右側の新年号には、「彼女」が。。。
「彼女」は「小さな町」に入っているし、
「啓吉」は「日々の麺麭」に入っているから手軽に読めます。
でも、本になる前の初出で読むのは、また趣きが違うような気がします。
作家の息づかいが聞こえてくるような。。。
知識や情報を得たければ、新しい本やkindleがいい。
でも、物語に触れたり味わいたければ、初出や初刊で読みたいと思う。
そんなのワタシだけかも知れないけれど、左と右で読む「彼女」、違うような気がしませんかね?
かなり年季がはいってボロボロですから、
読んでいるウチに表紙がとれちゃったりする。
こんなバッチいの嫌っていう人がいるのもわかる。
これ以上グズグズになるのも困るので、パラフィン紙でカバーしたり、
必要最小限の製本テープ貼りもします。
・・・それにしても不器用。
とても古書堂に雇い入れてはもらえないわね。