garadanikki

日々のことつれづれ 駄目駄目さんのガラクタ日記

映画『ドント・ウォーリー』

下高井戸シネマで、映画「ドント・ウォーリー」を観ました。

この映画は、実在する風刺漫画家のお話。

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《どんな話か》 

ジョン・キャラハン ( ホアキン・フェニックス ) は、重度のアルコール依存症。

酒が原因の大事故で、

首から下に麻痺が残り車椅子生活になってしまいます。

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自暴自棄になったジョンの生活の生活は、ますます荒れていきます。

そんな彼に手をさしのべたのが、断酒会のメンバーでした。

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特に、リーダーのドニー ( ジョナ・ヒル ) は、ジョンに深い影響を与えます。

 

ガールフレンドのアンヌ ( ルーニー・マーラ ) も彼を支えた1人です。

彼はみんなの支えで、風刺漫画を描くようになります。

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しかし、なかなかアルコールを断つことが出来ないジョン。

ドニーはジョンにある提案をします。

《過去の事実を受け入れ、自分を解放する最後のステップは「許すこと」》

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ジョンは、事故を起こした友人・デクスター ( ジャック・ブラック ) を許し、

母親を許し、自分の小さな罪までも謝罪することで、心を開いていきます。

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ロビン・ウィリアムスが愛した話

映画を観終わって私は、ロビン・ウィリアムスを思い出しました。

彼にピッタリの役だなと思ったからです。

 

その通りでした

ロビン・ウィリアムスは、この話の映画化を熱望。

キャラハンを演じたくて彼の自伝の映画権を買っていたんだそうです。

原作「Don’t Worry, He Won’t Get Far on Foot:

   The Autobiography of a Dangerous Man」

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そして監督のガス・ヴァン・サントと共に構想を練っていたのです。

ところがロビンは2014年に他界。

忘れられていた企画が再浮上したのは、それから20年後のことでした。

監督のガス・ヴァン・サントは、ロビンと共に作った脚本をゼロから書き直したのだそうです。

 

 

《断酒会ってやつ》

アルコール中毒患者に対しては、日本よりアメリカの方がシビアなのではないかしら。

日本で《飲んだくれの父ちゃんを施設に入れる》なんて、余程じゃなきゃしないでしょう。

お酒を飲んで《正体を失くす》ことに対して、日本人より外国人の方が厳しい。

しかし反面、治療をすることに対しては外国人の方が寛容だと思います。

ドラッグや、ギャンブルや、アルコールなんかの依存症を治療するため施設に入るというのは、

日本だったらダークなイメージがあって、闇に葬ったり、口外しないようにするけれど、

外国の場合は施設に入って治療して出所した人に対して温かい目で迎える気がします。

失敗したらやり直せばいい、ちゃんと克服できたら偉いと褒めよう、

そんな考え方は日本よりずっと大人の社会だと思います。

当事者も、ほら有名人なんかも公然とカミングアウトしたりしますもの、ね。

 

断酒会というのも、日本より普通にあるのでしょう。

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メンバーが円になって、1人1人の話を聞く。

自分が話す番になると皆に言います「ハイ、みなさん、こんばんわ」

メンバーは口をそろえて言います「ハイ、ジョン」

 

 ⵈⵈ これがね、なんか気持ち悪いんです。

日本人の習慣にないでしょう「ハイ・ジョン」っていうの。

皆に話すことで、自分の根っこに抱えていた悩みが解放される。

隠していた嘘が見えてきたり、自分がどんな状況にあるのかを客観的につかめたりする。

断酒会で、人の前で告白したりするのって、そういうことなんだと思います。

でも、私だったら出来ないなぁ。

信頼する1人の人に打ち明けるのは出来そうだが、皆の前で話すなんてとても無理だと思いました。

 

《断酒会のリーダー・ドニーについて》

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でで。

これも個人的な感じなんですが、私はこのドニーのキャラクターがつかめませんでした。

断酒会を主催していて、みんなに尊敬されてる人物なんですが、

お金持ちで、信仰心があって、人の話を優しく聞いてあげる人格者みたいなんです。

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でも、とこかネトっとしていて、ちょと気持ち悪い。

悩みがあってジョンが電話をした時の、ベッドで話を聞くドニーのシーンが、なんか意味深でした。

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電話が鳴ると、彼は一瞬ちょっと面倒臭そうな表情を漂わせたように、見えてしまったんです。

多分、彼のアンニュイな雰囲気が、そう見えただけなのかも知れません。

でも気になってしまったら、感情移入できないキャラクターになってしまいましたの。

 

《好きなシーン》 

人とのわだかまりが解けたりした瞬間が丁寧に描かれていました。

例えば、ケースワーカーさんとのエピソード。

障害者になった当初のジョンは、自己主張が強くて、感謝の念がなくて、やって欲しいことだけ要求する、そんな人でした。

 

支給された車椅子も乱暴に扱い、何度も何度も壊してしまいます。

その度に、車椅子の修理や交換を強要するジョンに、ケースワーカーの女性は拒否反応を示します。

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「大事なんだ、動かないんだ、すぐ来てほしい」というジョンの訴えにも、

「あなたはいつも自分のことばかり。あなただけのために私はいるわけじゃない」

 

断酒会でジョンは、ドニーから2つのことを提案されます。

「人を許すこと」「自分の小さな罪を認め謝罪すること」

ジョンは、ケースワーカーに会いに行き、いかに自分が勝手だったかを謝罪します。

ケースワーカーの顔がふっと和らぐ、一瞬ですがその表情が印象的でした。

 

「なんで、自分ばっかりこんな目に合うんだ」という怒りのジョンは、

やがて解放されていきます。

 

自分の事故も客観的に風刺漫画に出来たり、

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道行く人に漫画を見てもらったり、、、

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彼が変わると、周りも変わる。

歩道の段差でひっくり返ったジョンの車椅子を、

スケボーの少年たちが「しょうがないなぁ」と助け起こすシーンも感動的でした。

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重い障害を持つ、救いようのない男の人生がどんどん変わっていく。

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人と人との関わりって、こういうことなんだ。

感情の化学変化って、なんて面白いんだろうと思わせてくれる、素敵なドラマでした。